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パワコンの交換を考えるとき、「補助金は蓄電池を入れないと使えない」と思われがちです。東京都では、パワコンの交換そのものに助成があります。機器費と工事費(税抜)の2分の1・上限10万円/台が対象で、2026年度(令和8年度)は令和9年3月31日まで受付中です。
さらに蓄電池を同時に導入する場合は、別枠で1kWhあたり10万円の補助の対象になります。ただしこの2つは申請の順序が真逆で、順番を間違えると片方が使えなくなります。この記事では、2制度の中身と違い、申請でつまずきやすい点を整理します。
結論:パワコン交換だけでも東京都の助成は使えます
東京都には、パワコン交換に関係する助成が2つあります。どちらを使うかは「蓄電池を入れるかどうか」で決まります。
| 制度①パワコン更新費用助成 | 制度②蓄電池への補助 | |
|---|---|---|
| 使う場面 | 同等機能のパワコンに交換する | 蓄電池を同時に導入する |
| 金額 | 機器費+工事費(税抜)の2分の1 上限10万円/台 | 1kWhあたり10万円 上限120万円/戸 |
| 事前申込 | なし | 必須 |
| 申請するタイミング | 工事と支払いが済んでから | 契約する前 |
※制度②の上限額は、DR実証に参加しない場合の1戸あたりの額です。
単純交換なら制度①、蓄電池まで入れるなら制度②が軸になります。重要なのは、制度①が「工事のあとに申請」、制度②が「契約の前に申込」という正反対の設計になっていることです。ここを取り違えると、機器も住宅も条件を満たしているのに補助を受けられない、ということが起こります。
制度①:パワーコンディショナ更新費用助成(上限10万円/台)
正式には「家庭における太陽光発電導入促進事業」のうち、太陽光発電システムに係るパワーコンディショナ更新費用を助成する事業です。既に設置してある太陽光発電システムをこれからも使い続けるためのパワコン更新が対象になります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 助成額 | 機器費+工事費(税抜)の2分の1 上限10万円/台(千円未満切り捨て) |
| 申請期間 | 令和8年6月30日〜令和9年3月31日 |
| 申請の期限 | 対象設備の設置日(領収日)から180日以内 |
| 対象者 | 個人・法人・マンション管理組合 |
| 対象設備 | 都内住宅の既設太陽光発電システムを継続利用するための、未使用のパワコン |
| 更新設置期間 | 令和5年1月31日〜令和11年3月30日 |
| 事業実施年度 | 令和10年度まで(助成金の交付は令和11年度まで) |
| リフォーム瑕疵保険(加入は任意) | 1契約あたり7,000円 |
助成額は2つの合計で決まります。ひとつは機器費+工事費(税抜)の2分の1で、これに上限10万円/台がかかります。もうひとつはリフォーム瑕疵保険で、加入は任意ですが、加入した場合は1契約あたり7,000円が対象になります。いずれも千円未満は切り捨てです。
押さえておきたいのは「事前申込が要らない」ことです。制度②の蓄電池補助と違い、先に工事を進めても構いません。工事が終わり、支払いが済んでから交付申請をします。
ただし期限があります。申請は設置日(領収日)から180日以内で、かつ令和9年3月31日までに受け付けられる必要があります。工事が年度末に近いほど余裕がなくなるため、施工店に「この助成を使う」と先に伝えておくのが安全です。
令和8年度から、現金払いは対象外になりました
令和8年度から、実績報告の際に金融機関が発行した証明書等の提出が必須になりました。これにともない、現金の受け渡しによる取引は助成の対象外です。
振込やローンなど、支払いの記録が金融機関を通じて残る方法にしてください。「現金なら値引きします」という提案を受けた場合、助成の10万円と引き換えになっていないかを確認する必要があります。
制度②:蓄電池を足すなら1kWhあたり10万円
パワコンの交換と同時に蓄電池を導入する場合は、「家庭における蓄電池導入促進事業」の対象になります。補助額は蓄電容量1kWhあたり10万円、1戸あたりの上限は120万円です(DR実証に参加しない場合)。
制度①の上限が10万円/台であるのに対し、こちらは容量次第で桁が変わります。蓄電池を検討しているなら、金額のインパクトは制度②のほうが大きいと考えて差し支えありません。
制度②の対象条件・併用の考え方・申請の流れは、東京都の蓄電池補助金について詳しく整理したページにまとめています。
2つの制度は、申請の順序が真逆です
この記事でいちばんお伝えしたいのがここです。同じ東京都の制度でありながら、動く順番が正反対です。
制度①(パワコン更新)の順序
- 見積もり・契約
- 工事
- 支払い(金融機関を通す)
- 交付申請(設置日から180日以内)
制度②(蓄電池)の順序
- 事前申込
- 交付決定
- 契約
- 工事
- 実績報告
制度②は、交付決定より前に契約してしまうと対象外です。あとから申請しても、さかのぼって認められることはありません。営業担当から「先に契約しても大丈夫」と言われても、制度上は対象外になります。急かされたら、その場で決めないでください。
逆に制度①は事前申込がないため、「申込を待つあいだ工事が止まる」ということがありません。単純交換で急いでいる場合は、この違いが効いてきます。
ハイブリッド型は、パワコン費用をどちらに寄せるかで決まります
ハイブリッド型やトライブリッド型のパワコンに交換する場合、1台のパワコン費用が複数の事業の対象範囲にまたがることがあります。この場合、パワコン費用はどちらか一方に寄せて申請します。両方に計上することはできません。
寄せる先の優先度は決まっており、蓄電池 > V2H > 太陽光の順です。つまり蓄電池も申請するのであれば、パワコン費用は蓄電池事業側に含めて申請することになります。
実務上は、次のように整理すると分かりやすくなります。
- 単純交換(蓄電池なし):制度①を使う。上限10万円/台
- ハイブリッド化+蓄電池:制度②を使い、パワコン費用も蓄電池事業側に含める
なお、都および公社の他の同種の助成金との重複受給はできません。同じ費用に対して二重に受け取ることはできない、という考え方です。
申請でつまずく3つのポイント
1. 蓄電池なのに先に契約してしまう
いちばん多い失敗です。見積もりのその場で契約書にサインすると、制度②は対象外になります。制度①と混同して「あとから申請すればいい」と考えてしまうケースが目立ちます。蓄電池を少しでも検討しているなら、契約より先に事前申込と覚えてください。
2. 現金で支払ってしまう
制度①は令和8年度から金融機関発行の証明書等が必須になり、現金の受け渡しによる取引は対象外です。支払い方法は契約前に確認してください。
3. 180日を過ぎてから気づく
制度①は事前申込がないぶん、工事が終わったあとで存在を知る方もいます。申請は設置日(領収日)から180日以内です。既に交換を済ませている場合は、領収日から数えて期限内かどうかを先に確認してください。
よくある質問
パワコンを2台交換する場合、助成も2台分ですか?
制度①の上限は10万円/台です。助成額は機器費+工事費(税抜)の2分の1と上限額のいずれか低いほうで決まるため、台数分そのまま倍になるとは限りません。台数と費用の内訳がわかる見積もりをもとに試算してもらってください。
賃貸やマンションでも使えますか?
制度①の対象者は個人・法人・マンション管理組合です。対象になるのは都内住宅に既に設置されている太陽光発電システムを継続して利用するためのパワコン更新で、設備の所有や管理の状況によって扱いが変わります。ご自身のケースが該当するかは、要綱と施工店の両方で確認してください。
いつまでに交換すれば対象になりますか?
制度①の更新設置期間は令和5年1月31日から令和11年3月30日までで、事業自体は令和10年度まで実施され、助成金の交付は令和11年度までです。ただし年度ごとに申請期間が区切られており、令和8年度の受付は令和9年3月31日までです。予算状況により年度途中で終了する場合もあるため、交換の予定が立った時点で確認するのが安全です。
蓄電池のほうは、機器に条件はありますか?
あります。制度②の対象になるのはSII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)が登録している機器で、令和8年10月1日以降に事前申込をする場合は、SIIの令和8年度の登録済製品一覧に登録された機器のみが対象になります。
秋以降に事前申込をする予定なら、見積もりの段階で「その型番が令和8年度の登録済製品か」を施工店に確認しておくと安全です。機器が決まってから対象外と分かると、選び直しになります。
まずは対象になるかを確認する
2つの制度のどちらを使うか、どの順序で動くかは、蓄電池を入れるかどうかと現在の設備の状況で変わります。金額の試算と申請スケジュールは、東京都の助成を扱い慣れた施工店に出してもらうのが確実です。
制度の詳細と最新の要綱は、東京都の実施機関の公式ページで確認できます。
家庭における太陽光発電導入促進事業(令和8年度)|クール・ネット東京
家庭における蓄電池導入促進事業(令和8年度)|クール・ネット東京
※本記事は2026年度(令和8年度)の内容であり、予算状況により変更・終了となる場合があります。最新の要綱は東京都の実施機関でご確認ください。

